環境保全に向けた循環型エコノミーへの転換
自然資本の価値は重要である一方で、保全、経済、暮らしが十分につながらず、担い手不足や資金循環の弱さから、環境保全がコストや企業による任意の努力として受け止められがちです。動植物園を起点に、人・資源・お金・意識の循環を生み出し、里山と都市をつなぐ循環型エコノミーへの転換を検討しました。
※本テーマは参加人数が多かったため、ワークショップでは2チームに分かれて検討を行いました。
2045年のありたい未来ビジョン
「熊本市循環園」
熊本市動植物園は、動物や植物を展示する施設にとどまらず、人・お金・資源・意識が循環する体験拠点へと進化しています。動物や植物だけでなく、人間を含む生態系全体を学び、体験し、関われる場となり、企業活動や市民参加、学びや誇りが循環する熊本モデルの発信拠点となっています。
実現に向けたステップ
まずは、動植物園を「循環園」として再定義し、その意味や役割を社会に共有していきます。その上で、企業・行政・研究者・市民が参画する仕組みと体験型コンテンツを育てながら、人や資源の循環を実感できる場へと発展させ、最終的には熊本全体の自然共生モデルへ広げていきます。
フェーズ1:循環園ビジョンの打ち出しと共通ストーリーづくり
初期段階では、「熊本市循環園」という構想を明確に打ち出し、ネイチャーポジティブを推進する動植物園としての方向性を宣言していきます。あわせて、企業や個人が賛同・登録できる仕組みを整え、園内外の関係者(ステークホルダー)と共通ストーリーをつくりながら、小規模でも象徴的な循環プロジェクトを実装していきます。
フェーズ2:企業連携と体験型コンテンツの拡張
次の段階では、企業協賛や発信機能を取り入れながら、環境保全の取組を市民に体験として伝えるコンテンツを拡充していきます。企業の活動を発信する場や、ジビエ体験、森づくりと動物の餌づくりをつなぐ循環プログラムなどを展開し、市民が循環の当事者として関われる仕組みを育てていきます。
フェーズ3:熊本モデルとしての循環型エコノミーへ展開
中長期的には、動植物園と江津湖エリアを起点に、阿蘇水源域・草原・森林・都市を往復する循環モデルへと発展させていきます。企業・行政・研究者の常設的な共創プラットフォームを形成し、教育、採用、観光とも連動しながら、熊本で働くことと自然とともに生きることが結びつくモデルとして、地域内外へ発信していきます。
メンバー
内池 智広(大成建設株式会社 クリーンエネルギー・環境事業推進本部)
小林 悟志(環境省 九州地方事務所 地域生物多様性増進室)
冨田 康仁(コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社)
松島 吉伸(grubio/北海道大学)
宮本 翔太郎(肥後銀行 経営企画部 サステナビリティ推進室)
米尾 知義(MS&ADホールディングス サステナビリティ推進部 推進チーム/三井住友海上 経営企画部 SX推進チーム)
松本 充史(熊本動植物園)
松村 大貴(ファシリテーター/東京科学大学 環境・社会理工学院 大橋研究室)
2045年のありたい未来ビジョン
「水が繋ぐ里山と都市部との生活循環圏」
2045年の熊本では、水資源を起点として、森林・里山と都市生活が再び有機的につながる生活循環系が構築されています。森林、企業、市民、行政、研究機関が「水」という共通資産を介して協調的に関与し、自然は守る対象ではなく、ともに運用される社会インフラとして位置づけられています。
実現に向けたステップ
まずは、水源・森林・里山の状態を見える化し、動植物園を水と里山の教育・発信拠点として整えていきます。その上で、消費や利用が保全原資に自動的につながる仕組みを実装し、都市側の人材・資金・技術も運用側に取り込みながら、水を基盤とした地域循環経済へと発展させていきます。
フェーズ1:水と里山の可視化・発信基盤を立ち上げる
初期段階では、水源・森林・里山の状態指標をデータとして可視化し、市民・企業・行政が共通に参照できる基盤づくりを進めていきます。あわせて、熊本市動植物園を核に、水と森林の関係を体験的に学び、環境データを発信する教育拠点としての機能を立ち上げていきます。
フェーズ2:管理主体の実体化と制度的正当化
次の段階では、初期の活動で培った信頼関係と実績をもとに、地域自然管理組合を自然環境の管理主体として位置づけていきます。企業による寄付や協力がCSRやESG投資の文脈で正当化され、管理活動の資金としてこれらを組み込みながら、生態系サービスやアニマルウェルフェアに関する制度整備を進めると同時に、従来分断されていた森林・河川・野生動物などの管理分野を横断的に扱う枠組みを整えます。
フェーズ3:熊本モデルとしての循環型エコノミーへ展開
中長期的には、動植物園と江津湖エリアを起点に、阿蘇水源域・草原・森林・都市を往復する循環モデルへと発展させていきます。企業・行政・研究者の常設的な共創プラットフォームを形成し、教育、採用、観光とも連動しながら、熊本で働くことと自然とともに生きることが結びつくモデルとして、地域内外へ発信していきます。
メンバー
井野 道幸(熊本県森林組合連合会)
植松 豊(新産住拓株式会社)
岡本 智伸(東海大学 農学部)
栢本 直行(株式会社ハンドレッド)
加納 誠(イオン株式会社)
苗代 理沙(環境省九州地方環境事務所)
太田 光(熊本市動植物園マスタープラン推進会議)
溝端 菜穂子(熊本動植物園)
齋藤 康平(ファシリテーター/みらいリレーションズ)